さらなるキャリアアップのために、大学院で修士号や博士号の取得を目指す方は多くいらっしゃるかと思います。日本の大学院ではなく、海外の大学院で修士号や博士号の取得を目指す方も増えています。
オーストラリアは移民国家であるがゆえに、大学院での留学生の受け入れに積極的で、費用もアメリカやイギリスなどと比べると安く済むことが大半です。日本人留学生も年々増えており、人気の大学院留学先の一つです。
この記事では、オーストラリアの大学院への留学の特徴や費用を紹介します。オーストラリアの大学院で学ぶことに興味がある方は、より具体的なイメージが掴めるようになるでしょう。
目次
1. オーストラリアの基本情報
オーストラリア は日本から直行便でおよそ9時間のところにある、暖かい気候と美しい自然が魅力的な国です。格安航空会社ジェットスターの本拠地であり、セールともなれば2、3万円で行くことができてしまいます。それゆえ、人気の旅行地であることはもちろん、留学先としても人気が高いです。
2. オーストラリアの大学院の特徴
2-1. オーストラリア の大学院の特徴
オーストラリア にある大学の数は全部で43校と少なく、そのうち8校が世界ランキングトップ100に入る大学です。それぞれの大学がそれぞれの特徴を持っており、レベルが全体的にかなり高いです。
留学生の受け入れに積極的
オーストラリア は移民国家であるがゆえに、大学院での留学生の受け入れにも積極的です。アメリカ、イギリスについで世界で3番目に多くの留学生を受け入れています。 2018年にオーストラリア 政府から発表された統計によると、オーストラリア の大学に入学した留学生数は約38万人で、中国、インド、ネパール、マレーシア、ブラジルと多い順に並びます。 このように世界中から多くの留学生が集まるので、世界中に友達を作ることができます。 日本人留学生にももちろん人気で、シティ中心部を歩けば必ずと言って良いほど日本語を聞くことができます。
入学時期が年に2回ある
オーストラリア の大学は通常2学期制で、多くの場合は2月と7月がセメスター(学期)の始まりです。 1セメスターは3〜4ヶ月で、セメスター途中に1週間程度のセメスターブレークがあります。 11月〜2月は基本的に休暇期間となりますが、多くの学校でサマースクールが開講されており、興味のある他学部の講座を受講する学生も多くいます。 1年の流れは大まかに、2月〜5月がセメスター1、6〜7月が試験期間とホリデー、8月〜10月がセメスター2、11月が試験期間、その後2月までホリデーもしくはサマースクール期間となります。
修士号なら短期間で取得可能
オーストラリア の大学院で修士号(Master)を取得する場合にかかる時間は、学部にもよりますが、1.5〜2年と比較的短期間で取得することが可能です。 中には1年で修了というコースもあります。 留学期間が短くなれば、その分費用を抑えることもできます。
2-2. オーストラリア の大学院留学のメリット
自然豊かな環境で勉強に集中
オーストラリア はご存知の通り、自然が溢れる国で、それを理由に留学する学生も多くいます。 休みを利用して、ビーチに行く方や、サイクリング、ハイキングを楽しむ方が多く、勉強漬けの日々からのリフレッシュにもなります。 格安航空会社を利用して、オーストラリア の別の都市へ安く旅行することも可能です。
日本人が多く、万一の場合も安心
オーストラリア留学は日本人に人気であり、同じクラスに日本人がいることはなくても、シティを歩けば日本語がいたるところから聞こえてきます。 日本語サークルがある大学も多く、日本人の友達はもちろん日本好きの他の留学生とも友達になれます。
就労が可能
オーストラリア の大学院留学で取得するのが学生ビザです。 オーストラリア では留学生であっても、週20時間までなら就労することが可能です。 ホリデー期間中はこの制限がなくなり、フルタイムで働くことも可能です。 オーストラリア の最低時給は18ドル(約1500円)と世界一高く、また学生ビザで働く人には税金が課せられないので、週に20時間という制限内でも$300〜400を稼ぐことも可能です。
学費がアメリカやイギリスなどに比べると安い
留学にはお金が必要で、オーストラリア の大学院への留学も決して安くはありません。 しかし、アメリカやイギリスなどの大学院に留学するよりも学費自体は安いです。
LCCで日本に一時帰国する際もお金がかからない
セール時であれば、2-3万円台で往復チケットを購入することも可能です。 ピーク期間以外であれば通常6-7万円で往復チケットを購入することができるので、日本が恋しくなったタイミングで一時帰国するのもそんなに苦じゃありません。
2-3. オーストラリア の大学院留学のデメリット
物価が高い
オーストラリア の時給が高い代わりに、物価が高いです。 日本のようにワンコインでランチというのはあり得ません。 自炊する学生が多く、毎日ランチボックスを作って持ってくる学生をよく見かけます。
英語の条件をクリアする必要がある
大学院ではより高度な内容を扱うので、当然要求される英語力も高くなります。 オーストラリア の大学院への入学条件としてほとんど場合IELTSのスコアが使われます。 学部によって変わりますが、修士課程に入学するのには多くの大学院で、IELTS6.5以上が求められます。
日本の大学院で学ぶよりも学費がかかる
オーストラリア の大学院へ留学する場合、アメリカやイギリスと比べて学費は安いとはいえ、日本の大学院に進学する場合と比べて倍以上の費用がかかります。 それに加えて生活費もかかります。 詳しくは後で説明します。
3. オーストラリアの大学院の仕組み
3-1. 修士課程
オーストラリア の修士課程ではコースワークとリサーチコースに別れており、自分のやりたいコースを選ぶことが可能です。
コースワーク
コースワークは学校のカリキュラムに沿って、授業を履修するコースです。 日本の大学などで学士号を取得したのち、修士号を取得したいという方が一般的に進むコースです。 オーストラリア の修士課程は学校によっては、学士号と違う科目を学ぶことも可能です。 例えば、日本で工学部を卒業し、オーストラリアの大学院でビジネス修士課程を履修することもできます。
リサーチコース
リサーチコースは博士課程と似ていて、最初に研究課題を設定しスーパーバイザーの指導のもと研究をして修士号を取得します。 入学には学歴や職歴として何らかの研究実績が求められる場合もあり、日本の4年生大学を卒業した人が入学するのは少し難しいです。
3-2. 博士課程
通常3〜5年間で、教授のもとで研究を進めます。入学には修士号、もしくはBachelor Honours (学士課程に加えて1年間の研究を修了した者)が入学条件となります。
4. オーストラリア の大学院留学の費用
4-1. 学費
1年間の学費は日本円にしておよそ150〜250万円です。 それに加えて教科書などの費用が10万円ほどかかります。
4-2. 生活費
オーストラリアでの生活費は、どの都市に留学するかによっても変わってきますが、1年間でおよそ150万円ほどです。 シドニーなど大都市の中心部は家賃が高くなり、シティ中心部から離れるほど家賃は安くなります。
4-3. その他
オーストラリアでは留学生全員に対して、保険への加入が必須になります。 これが1年間で5万円ほどです。 さらに、日本出発前に個人で保険加入される方がほとんどで、1年間で25万円ほどかかります。
5. オーストラリア の大学院の入学条件
オーストラリアの大学院への入学で求められるものは、多くの場合IELTSのスコアと大学での成績の2つです。 オーストラリアの大学院への入学にはほとんどの場合、書類審査のみで合否が決まります。 入学試験を受けることもなければ、アメリカやイギリスの大学のように、推薦状やエッセイの提出が求められることはありません。
5-1. 英語力
IELTSスコア
オーストラリア の大学院は一部学校を除き、修士・博士課程ともにIELTS6.5以上が求められます。 学部によってはIELTS7.0以上を求められる場合もあります。 また、IELTSにはリーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4つのセクションがありますが、各セクションが6.0以上でなければなりません。
IELTSのスコアが条件に満たない場合
仮にIELTSが入学条件に満たなくても、オーストラリア の大学付属や提携の英語学校で規程の成績を収めることを条件に入学が許可される場合があります。 英語学校で一定の成績以上を収めれば、IELTSを再度受験することなく大学院への入学が可能です。 英語学校では実践的な学術英語が学べるので、IELTSのスコアが入学条件を満たしていても英語学校に通うという学生もいます。
5-2. 日本の大学での成績
日本の大学を卒業の場合、GPA3.0程度の成績が求められます。 修士課程のリサーチコースを目指す方は、研究実績や職歴を求められることもあります。 博士課程への入学には修士号が必要です。
6. オーストラリア大学院留学でおすすめの大学は?
オーストラリア には43の大学があり、どの大学も教育レベルが高いことで知られています。
6-1. 世界ランク上位100以内のGroup of 8
オーストラリア の大学のうち世界ランキングの上位100位以内に入る学校は8つあり、Group of 8と呼ばれています。
- Australian National University
- Melbourne University
- University of New South Wales
- University of Queensland
- University of Sydney
- Monash University
- The University of Western Australia
- The University of Adelaide
これらのGroup of 8の大学はノーベル賞受賞者や、政治家などを多数輩出しています。レベルはさながら、学費も他の大学より1.5倍ほど高くなります。
6-2. 他の大学もレベルが高い
Group of 8以外の大学も教育レベルが非常に高く、世界的に評価されています。
- University of Technology Sydney
- Queensland University of Technology
- University of Wollongong
- University of South Australia
- Macquarie University
上記の大学は、ITやビジネス、看護などの特定の分野でそれぞれ強みがあり、企業関係者などから高く評価されています。
7. オーストラリア の大学院留学に向けての準備
7-1. 学校を決める
個人で資料を請求したり、大学のホームページから情報を集めることもできます。 留学エージェントからより詳しい話を聞くことも良い方法です。
7-2. 英語の試験を受ける
大学院入学の前に語学学校に通うことを決めている場合も、IELTSのスコアが必要になります。 都心部ではIELTSの受験申し込み者数が早くに定員に達してしまうこともあるので早めに申し込みをするのがおすすめです。
7-3. 願書の提出
願書の提出は個人でもできますが、無料で代行してくれる留学エージェントが多くあります。 いくつかの留学エージェントはオーストラリア の大学の公式日本窓口にもなっているので、そちらを利用するのがおすすめです。
7-4. ビザの取得
オーストラリア のビザの取得はパソコンからオンラインで行います。 パスポート番号などの入力事項や、質問事項に同意していき、およそ1時間で完了です。 日本人に対しては基本的に健康診断が免除されるのですが、ビザの条件で要求されたら、健康診断を受ける必要があります。
7-5. 航空券の手配
入学時期が決定したら航空券を手配します。 日本―オーストラリア 間はジェットスターを始めとして、航空券を比較的安く購入することができます。
8. まとめ
オーストラリア の大学院留学のイメージは掴めたでしょうか?オーストラリア の大学院留学を目指す日本人学生は年々増加しています。 よく「海外大学は入学は簡単だが卒業が難しい」と言われますが、オーストラリア には多くの留学生が集まり、しっかりと卒業しています。
オーストラリア の大学では、試験よりもセメスター内での課題が重要視されます。 したがって、普段のから努力を続けられる人であれば、オーストラリアの大学院で、容易ではないにしろ、しっかりとした成績を修めることができます。オーストラリアの大学院留学についてイメージが少しでも掴めた方は、留学エージェントなどでより詳しい話を聞いてみてはいかがでしょうか?