留学やワーキングホリデーの渡航先として人気のオーストラリアは、「物価が高い」ことでも知られます。物価が高いということは生活費もかかる……と心配になる方も多いはず。
それでは実際に、オーストラリアでの生活費はどれくらいかかるのでしょうか?今日は、食費や家賃をはじめ、様々なカテゴリーのコストを解説していきます。ぜひオーストラリアでの生活の参考にしてみてくださいね。
オーストラリアの生活費用
生活費を考える際に一般的なのが「都会と田舎の生活コストの違い」でしょう。日本の常識からすると「都会より田舎のほうが安い」と考えがちです。日本ではこれはある程度正しいですよね。
ただしオーストラリアではこの考え方はあまり当てはまりません。実情としては都会も田舎も「そこまで変わらない」というところになります。
例えば、オーストラリアではスーパーマーケットの大手チェーンがあり、全国的にほとんど統一した金額で販売しているため、自炊の場合には都市部も田舎も金額にほとんど差が出ません。以下、食費はじめ主な生活費のカテゴリーについて見ていきましょう。
オーストラリアでの食費
食費については「自炊」と「外食」のどちらをメインにするかで、金額もかなり変わってきます。また、肉や野菜、フルーツや果物など、品目ごとに日本より高いものと安いものがまちまちです。参考までに、それぞれのケースを見ていきましょう。
自炊の場合
生活費用の中でも特に欠かすことのできない項目が食費です。この食費ですが、当然ながら外食よりも自炊をすることである程度安く抑えることが可能です。
オーストラリアでは、大手スーパーマーケットの「Coles(コールス)」や「Woolworth(ウールワース)」などが全域に展開しており、かつ国内でほぼ統一した価格で品物を販売しています。
そのため、自炊をする場合はオーストラリア全国であまり差が出ないと考えてよいでしょう。もちろん豆腐やうどん、醤油やカップラーメンなど日本から輸入される食材はスーパーでも高価格になります。ただ、肉や野菜など、オーストラリアの一般的な食材は日本と比べてもそこまで高いものではありません。
また、これらのスーパーマーケットでは往々にして特売セールを実施しています。セール品は毎回異なりますから、Webサイトやアプリ、チラシなどでチェックをしておき、お目当の品物が安くなるタイミングでまとめ買いするのもおすすめです。
留学生などの間では、セールの日にはクラスメイトやシェアメイトと車で店舗へ行き、ダンボール一杯の野菜やフルーツを買い込むことで節約する人も少なくないようです。1年以上の長期滞在を見込む外国人留学生の中には車を持っている人もいるため、そうした友人と一緒に出かけるのもいいでしょう。定期的なイベントのような気持ちで行けば、単なる買い出しも楽しい思い出になるかもしれませんね。
2018年12月某日のスーパーCの価格
- 牛乳 1ℓ 1ドル
- 卵 1ダース 3.00ドル
- 食パン 650g 1.25ドル
- 玉ねぎ 1個 0.52ドル
- トマト 1個 0.72ドル
- レタス 1個 1.50ドル
- じゃがいも 1個 1.40ドル
- リンゴ 1個 1.18ドル
- ネーブルオレンジ 1個 0.70ドル
- ビーフステーキ 100g 2.25ドル
- 牛ひき肉 500g 4.50ドル
- ビール(Victoria Bitter)375ml 1本 2.13ドル
※1ドル=1オーストラリアドルで、81.82円となっています(2018年12月上旬時点)
外食の場合
外食は基本的に自炊よりも高くなりがちです。かつ、住む場所によって費用の振れ幅が大きく変わってきます。まず、オーストラリア全土に展開するチェーンレストランやファストフード店であれば、価格は全国でほとんど差がありません。決して安いとはいえないことが多いものの、土地によって値段が変わるというものではないということです。
一方で、チェーン店ではない個店ももちろん各地に数多く存在します。これらの店はリーズナブルなものから高級店まで多様であるため、どのような店に頻繁に行くかで食費は変わってくるでしょう。
また、さほど高級という印象のお店でなくても、ケアンズやゴールドコーストをはじめ観光客が特に多いエリアでは外食ビジネスも盛んなため、総じて値段が高くなる傾向にあります。
対して、観光客ではなく現地の生活者が多いエリアのお店の場合には、リーズナブルな価格のケースが多いと言えます。滞在する地域の特性によって、自炊と外食のどちらに比重を寄せるかを決めるのも有効かもしれません。
といっても、クラスメイトたちとの外食は交流の大事な機会でもあります。あまり切りつめすぎて外食パーティーに参加しないのも寂しいでしょうから、普段あまり派手な外食は控えながら、ここぞという際には知人とお店に出かけてコミュニケーションを深めることも大切です。バランスを見極めながら、適度に倹約していくのがよいかもしれません。
参考価格
- フードコートで1食分の平均価格は10ドル前後
- マクドナルドのビッグマックセット(Mサイズ)も約10ドル
- ハンバーガーセット(Mサイズ)は5ドル
- バーやパブでのビールの値段 6~8ドル程度
オーストラリアでの日用品費
生活費用の中でも、初期費用を大目に見ておきたいのが日用品です。オーストラリアで買う日用品は、基本的に日本と比べて割高と考えておいたほうが間違いありません。といっても、どこで買うかによって価格は変わってきますから、大手スーパーマーケットなど安く販売している店舗を選んで行くのがおすすめです。
例えば「K-mart」「Big W」「Target」といった大型店舗ではシャンプーやリンスをはじめとする日用品、キッチン洗剤やスポンジなどの台所用品、さらに電子レンジやトースターのような簡単な家電から洋服に至るまで、様々なジャンルの商品を取り扱っています。これらの大手チェーンはオーストラリア全国に展開しており、各地ごと大きく料金が変わることもありません。町の薬局などに比べて安く買えますから、こうした大手チェーンは積極的に活用するのがよさそうです。
なお「あくまで使い慣れた日用品を」という方は、荷物にならない程度であれば渡航時に日本から持参するのもいいでしょう。敏感肌の多い日本人には、現地の人に合わせた化粧水や洗顔料などは刺激が強すぎるケースもあります。
また、オーストラリアの水は硬水のため、シャワーの際に髪の毛がきしむことも少なくないようです。肌や髪に馴染んだ愛用品を持参すればそうしたトラブルも軽減できるかもしれません。小さなことのようですが、体に関する変化は思わぬストレスになりかねませんから、少しの努力で回避できるものはそうしたほうがよいでしょう。愛用品を持参することで、もちろん節約にもなります。荷物の量と相談しながら、検討してみてください。
オーストラリアでの交通費
留学であれば学校に、ワーキングホリデーであればアルバイト先にと、移動が多くなりがちなオーストラリアでは交通費もある程度見込んでおく必要があります。オーストラリアでは、とくに都市部を中心に、公共交通機関が非常に発達しています。そのため、これらの電車やバスをうまく活用することで交通費を抑えることができます。
近年では駅の改札やバスの乗車口にタッチ式の専用機が置かれ、日本のSuicaのようにタッチすることで支払いができるプリペイドカードも普及してきました。こうしたカードや回数券、1日乗車券などを利用することでお得に利用できるようになっています。頻繁にバスや電車を使う方はぜひ使ってみてください。
また、「そもそも移動自体を少なくする」ことで移動コストを抑えるという方法もあります。学校やアルバイト先が市内中心部などにあるなら、そのエリアに住んでしまうというわけです。
立地がよければそれだけ家賃がかさむ可能性もありますが、学校やアルバイト先へのアクセスが楽になれば、単純な交通費だけでなく時間や手間も削減することができるでしょう。浮いた時間と体力で勉強や仕事に集中するもよし、ホストファミリーや友人と交流を深めるもよし、様々なメリットがある選択と言えます。
参考価格(それぞれプリペイド式のカード利用時)
- シドニーの電車 初乗り 4.40ドル(ピーク時)、3.08ドル(それ以外の時間帯)
- メルボルンの電車 市内(Zone1)利用時 4.30ドル
- ブリスベンの電車 初乗り 4.70ドル(ピーク時)、3.29ドル(それ以外の時間帯)
オーストラリアでの通信費
今や留学やワーキングホリデーにデジタルデバイスは欠かせないものとなっています。パソコン、スマートフォンはほとんど生活必需品であるため、通信費をできるだけ安く抑えることも重要です。
学校やアルバイト先、またホームステイ先などの滞在場所にWi-Fiがあればそれを利用することで通信費の節約が可能でしょう。また、長時間のパソコン作業などをする場合には学校のパソコンルームやインターネットカフェを使うのも有効です。
なお、オーストラリアのインターネット環境は日本と比べると少し劣るとも言われています。SNSやニュースなどを常にチェックしているような「ネット中毒」の方は、データ通信のしすぎで通信費が大きく膨らまないよう注意しておく必要があります。
参考価格(エーブルネットより)
- スマートフォンプラン 月額35ドルから
- ポケットWi-FIレンタル 月額23ドルから
オーストラリアでの家賃
オーストラリアにおける家賃の負担は、例えば市内の中心地と郊外のどちらに住むかで値段が変わってきます。また、オーストラリアでは、一般的に都会の方が田舎よりも価格が安くなる傾向が見られます。これは日本の常識からすると不思議な感じがしますが、入居者獲得の競争が激しいために価格についても値下げ競争が一部で起こっているためと考えられます。
ただ、どのような価格帯であれ、家賃が月々の生活コストのうちかなりのシェアを占めることは変わりありません。場所によるバリエーションはもちろんですが、ホームステイにするか、単身で住むか、学生仲間などとシェアするかといった「住み方」の違いによっても負担額は大きく異なります。
それから、住環境は滞在の品質に多大な影響を与えうるため、あまり低価格だけを求めすぎないことも大切です。いくら安くても劣悪な環境では、充実した滞在生活を送ることが困難になってしまうでしょう。ご自身が現地でどのような生活をしたいかをしっかりとイメージした上で、総合的に判断して決めることをおすすめします。
家賃相場 (都市周辺にあるシェアハウスのシングルルームの場合)
- シドニー 週180ドル~
- メルボルン 週180ドル~
- ブリスベン 週150ドル~
- ゴールドコースト 週140ドル~
- ケアンズ 週130ドル~
- パース 週160ドル~
オーストラリアでの旅行費
せっかくオーストラリアに来たからには、周辺エリアの観光も楽しみたいところですね。旅行費用は厳密には「生活費」ではないかもしれませんが、世界遺産のエアーズロックやグレートバリアリーフをはじめ、名だたる観光名所が点在するオーストラリアでの旅行を考えている人は少なくないでしょう。
そこで、シドニーやメルボルンなどの主要各都市から近隣の有名観光地を回るツアーに日帰り参加した場合の費用を、いくつか挙げてみます。もちろん自分でレンタカーを借りた場合には、より節約することも可能です。
参考価格
- シドニーからブルーマウンテンズ 1日ツアー 約100ドル
- メルボルンからフィリップ島ペンギンパレード 1日ツアー 約150ドル
- メルボルンからグレートオーシャンロード 1日ツアー 約150ドル
- ゴールドコーストからホエールウォッチングクルーズ 約100ドル
- ゴールドコーストからムービーワールド 入場料 85ドル
- ケアンズからグレートバリアリーフ クルーズ 約200ドル
- パースからピナクルス 1日ツアー 約215ドル
番外編:生活費以外の費用
ここまで、オーストラリア留学にかかる生活費用についてご紹介してきました。ただ、ご存知のとおりパスポートやビザ、航空券など、海外渡航には生活費以外のお金も発生します。しかもそれらは大体の場合、かなりの金額に膨れることになります。
そこで番外編として、現地滞在費用とは別で留意しておくべきオーストラリア費用について見ていきましょう。
生活費以外の主なコスト
オーストラリア渡航における、一般的なコストは次のようなものがあります。
- パスポート
- ビザ
- 航空券
- 語学学校
- 海外保険
どれも仰々しい印象の項目ですね。食費や通信費に比べるとかなり高額になりそうです。詳細を解説していきましょう。
パスポート
海外渡航には不可欠なパスポートですが、もちろんオーストラリア渡航以前に別の渡航で取得していれば、今回新たに発行手続きをする必要はありません。パスポートは有効期限により2タイプに分かれます。5年間有効のものは11,000円、10年間有効のものは16,000円の手数料となっています。
※上記の5年間有効パスポートの金額は12歳以上のもの。12歳未満では6,000円となります。
ビザ
渡航に必要なビザは、オーストラリア留学の場合には学生ビザになります。ビザの申請料金は、日本国内からでもオーストラリア現地からでも一律575ドルと設定されています。
ただしこれは初回申請の金額であり、書類ミスなどで再申請となった場合には追加で700ドルが請求されますので注意が必要です。
なおビザ料金の支払いにはクレジットカードも利用できるものの、カード払いの際はカード利用手数料も申請者負担となるため、これも留意しておきましょう。クレジットカード各社の手数料は以下のとおりです。
カード利用手数料
- Visa, Mastercard — 1.32%
- American Express, JCB — 1.40%
- Diners Club International — 1.99%
- Union Pay — 1.90%
- PayPal — 1.00%
※2018年7月現在
航空券
オーストラリアと日本間の航空チケットは、大体6〜15万円程度の水準になっています。もちろん時期や予約タイミングなどで上下しますが、概ねこの範囲内と考えていいでしょう。ちなみに日本からオーストラリアへの便で安い時期として知られるのは次の4つです。
- 1月中旬〜3月上旬
- 5月中旬〜7月中旬
- 8月下旬〜9月上旬
- 10月中旬〜12月上旬
それぞれ、正月やゴールデンウィークなど日本の大型連休後に安くなっているようです。留学の場合には学校の入学時期なども考慮する必要があるため、そこまで自由が利かないかもしれませんが、少しでも安くチケットを入手したい方は参考にしてみてください。
海外保険
オーストラリアに限った話ではありませんが、海外へ行く際に加入しておきたいのが海外保険です。なぜわざわざ海外保険に入る必要があるかというと、海外現地では日本の保険が利かないためです。オーストラリアに学生ビザで渡航する留学生については、実はOSHCという保険への加入が義務とされています。
ただし、渡航先でどんな事故や病気、トラブルに見舞われるかわからないため、OSHCだけでなく、より手厚い海外旅行保険に入ることが奨励されているというわけです。
不慣れな現地での事故や病気はただでさえ不安で心細いものですが、さらにお金の心配まで出てきてしまうと充実した現地生活とはかけ離れたものになってしまう可能性が高いでしょう。海外保険の多くは、貴重品の盗難や破損といった日常的に起こりうる問題もカバーしてくれるため、入っておけばいざというときに安心と言えます。
海外保険は保険会社各社が提供していますので、いくつかの会社のWebサイトから問い合わせてみることをおすすめします。留学エージェントを利用する場合にはエージェント経由で手続きが可能です。料金は、平均して10万円程度が一般的と言われています。決して安い負担ではありませんが、万が一に備えて加入しておくのが間違いないでしょう。
語学学校
留学でもワーキングホリデーでも、渡航者は基本的に学校へ通うことになります。すでに英語が堪能で一定の条件を満たしている人を除いて、スタートは語学学校になるでしょう。
語学学校は各都市に数多く存在し、金額もばらつきがありますが、ここでは一般的な例を挙げておきます。
・週280ドル×48週(1年)=約13,440ドル
1ドル=81円程度の現レートで換算すると、約108万円になります。渡航においてもっとも高額なのが、ほとんどの場合この学費になるでしょう。そのため、自身の留学目的や目指す英語レベルなどをしっかり見極めた上で、最適なプログラムや教師陣が揃った学校を探すことが大切です。
学費を抑えようとするあまり、質の悪い学校に当たってしまっては本末転倒です。学業はオーストラリア生活の大きな軸になると思いますので、学費と質をそれぞれきちんと見ながら決めていくことが肝要と言えます。
まとめ
いかがでしたか?今日は、オーストラリアでの滞在にかかる生活費を詳しくご紹介してきました。物価が高いと言われるオーストラリアですが、それぞれのカテゴリーで工夫することで支出を減らすことは十分に可能と言えます。
一方で、あまりお金のことを気にしすぎても充実したオージーライフを楽しめませんから、バランスをとりながら適度に倹約していくのが賢い選択かもしれません。無理のない範囲でスマートに支出を抑えながら、ぜひ、楽しいオーストラリア生活を送ってください。