グローバル言語である英語は、世界の人とコミュニケーションをとる上で重要なツールです。日本の学校で英語を学ぶのはもちろん、留学やワーホリなどで英語圏に滞在して英語力向上を目指す方も多いのではないでしょうか。世界共通語として使われる英語ですが、話される国や地域によって特徴があります。
オーストラリアで使われる英語は、日本人が学校で習うアメリカ英語と発音の違いはもちろん、単語のスペルが違うものもあります。
イギリスの影響が強いオージーイングリッシュですが、イギリス英語と違う点もあり、またお隣ニュージーランドで使われる英語とも違うところがあります。このような違いは時としてコミュニケーションに影響を及ぼします。
オーストラリアで学んだ英語の発音や表現をアメリカ人に話して伝わりづらいこともあるでしょう。この記事ではオージーイングリッシュの特徴について紹介します。その上で、オーストラリアで英語を学ぶことにどんなメリットやデメリットがあるのかも紹介します。
留学先やワーキングホリデー先で悩んでいる方は参考にしてください。
1. オージーイングリッシュとは
オージーイングリッシュはオーストラリア国内で使われる英語のことで、オーストラリア独自の表現や特徴的な発音などが含まれます。オージー英語やオージーイングリッシュとも呼ばれます。
英語が公用語となっている国はアメリカやイギリス、カナダやニュージーランドなど多数存在しますが、どの国の英語にもその地域の特徴があります。
日本人が学校で習う英語はアメリカ英語が基本であるため、オーストラリアに留学をすると、簡単な表現でも、最初のうちは発音の違いから理解できないことも多くあります。
2. オージーイングリッシュの歴史
オーストラリア大陸には、少なくとも5万年前から先住民であるアボリジニが生活していたと考えられており、彼ら独自の言語を築きあげてきました。しかし、1770年にイギリス人の冒険家であるジェームズ・クックがオーストラリア大陸に到達し植民地化が始まると、多くのイギリス人がオーストラリア大陸にやってきました。
オーストラリアの植民地の多くは、自由移民向けではなく、囚人が送られる場所でした。そんなオーストラリア植民地に送られた囚人はロンドン近郊やアイルランドの囚人たちが多くを占めていました。
オージーイングリッシュの始まりは1788年にニューサウスウェールズ植民地へ移住した移民たちが由来とされています。より正確には、ロンドンの労働者階級の人が話していたコックニー(Cockney)という英語が由来であると考えられています。
現に、オージーイングリッシュで有名な発音の違いに、Day “デイ” を “ダイ” と発音することが挙げられますが、コックニーでもこの発音が使われます。オージーイングリッシュの進化はとても早く、1820年ごろまでにはこの植民地で話されていた英語はイギリス英語とは違うものと認識されるようになりました。
イギリスには多くの英語の方言がありますが、コックニーは労働者階級が主に話していた英語であるため、上流階級の人からは下品な方言としてみなされていたのも事実です。そのため、1940年代ごろまでは、オーストラリア国内のメディアではReceived Pronunciationと呼ばれる、イギリスの事実上の標準言語が使われていました。
植民地時代からの名残でイギリス英語が元となっているオージーイングリッシュですが、第二次世界大戦以降は、テレビ番組などの影響でアメリカ英語の影響も受けています。
イギリスで下品な方言として扱われたコックニー英語が元となっているオージーイングリッシュは、オーストラリアや周辺国の成長とともに、”オージーイングリッシュ”としての地位を獲得していきました。
今では、TOEICなどの英語試験において、オージーイングリッシュの発音のリスニング問題も含まれています。
3. オージーイングリッシュの特徴
イギリス英語の方言が由来とされるオージーイングリッシュには、オージーイングリッシュ特有の文法や発音が存在します。
3ー1. オージーイングリッシュの文法
英語の文法の基本事項はどこの地域で使われる英語も同じですが、単語のスペルや前置詞などにおいて若干の違いが見られます。イギリス由来のオージーイングリッシュですが、イギリス英語との共通点があるのはもちろん、アメリカ英語と同じ特徴を持つこともあります。
3ー1ー1. オージーイングリッシュとイギリス英語とアメリカ英語の文法の違い
語彙・表現
オージーイングリッシュにおける単語は、イギリス英語と共通の場合が多いです。イギリス英語と共通のものとしては、エレベーターを意味するlift(アメリカではelevator)やテイクアウトを意味する”take away”(アメリカ英語では”to go”)などが挙げられます。
エアコンを”air con”と言って通じるのもオーストラリアの特徴です。また、イギリス英語で有名であり、我々日本人を困らせる階数表現、Ground Floor、1st Floor、2nd Floor・・・という表現はオーストラリアでも使われています。
したがってオーストラリアでビルに入る際は気をつける必要があります。単語に関しての特徴として、オーストラリア人の気さくで怠惰な性格が原因となっているのか、短縮形の単語が特に多くあります。
“Thank you”の短縮形である”Ta”や “Hello”を意味する”Good day”の短縮形”G’day”などが挙げられます。
-ieで終わる表現が多いのも特徴で、オーストラリア人を表すAussieやオーストラリア人が大好きなバーベキュー(Barbecue)はBarbieと表されることもあります。
また、オーストラリア独自の単語も多くあります。パプリカを意味する”Capsicum”(アメリカ英語では”bell pepper”、イギリス英語では”green/red pepper”)や、歩道を意味する”footpath”はオーストラリア特有の単語です。
スペル
オージーイングリッシュで使われる単語のスペルはほとんどがイギリス英語と同じです。有名なもので言えば、”colour” (color)や”favourite” (favorite)のようにアメリカ英語にはない”u”が含まれています。
また、アメリカ英語では-erと表現されるものがオージーイングリッシュでは-reとなる単語も多くあります。”centre”(アメリカ英語では’center’)などがこれに当てはまります。
アメリカ英語では”z”の部分が”s”になるのもオーストラリア(イギリス)英語の特徴です。例えば”気づく”という意味の”realize”は、オーストラリアでは”realise”となります。
3ー2. オージーイングリッシュの発音
アメリカ英語を学んだ日本人がオーストラリアに来てはじめに驚くのはオージーイングリッシュの発音の特徴でしょう。簡単な文章でも、アメリカ英語の発音をしっかりと学んだ方は、むしろ理解できないことがあるかもしれません。
オージーイングリッシュはイギリス英語が元になっていますが、イギリスほど上品な印象はなく、かと言ってアメリカ英語とも違う発音の特徴があります。イギリス英語とアメリカ英語の中間にあると言えばイメージがつきやすいでしょうか。
英語の発音が苦手とされる日本人ですが、オージーイングリッシュの発音はアメリカ英語の発音よりも簡単と感じる人が多いようです。
”r”の発音が弱い
オージーイングリッシュの発音の特徴の一つに’r’の発音が弱いことが挙げられます。むしろ’r’の音を発音しないと言われることもあるくらい、アメリカ英語との発音に違いがあります。
‘r’の発音は日本人が苦手とする英語の発音ですが、オージーイングリッシュではこの’r’の発音が弱いため、日本人向きの英語と感じる人も多いようです。アメリカ英語では’r’の発音は通常、舌を巻いて発音しますが、オージーイングリッシュでは舌を伸ばしたまま発音する人が多いです。
水を意味する”water”はアメリカ英語では”ウォーラー”のように聞こえますが、オージーイングリッシュでは”r”の発音が弱くなっており、”ウォラ”に近い発音となります。舌を巻く必要がないので、ジャパニーズアクセントで言う”ウォーター”を少し濁らせるだけで通じるという、日本人にとって簡単な発音の単語となっています。
aはアイと発音されることが多い
オージーイングリッシュにおける発音の特徴として、もう一つ有名なのが”a”の発音です。ABCDEFG…というときは”エー”、”ビー”、”シー”なのですが、単語中の”a”はしばしば”アイ”と発音されることがあります。例えば、今日を意味する”today”、日本で習う英語の発音は”トゥデイ”ですが、オージーイングリッシュでは”トゥダイ”と聞こえます。
性格には”デイ”と”ダイ”の中間の音らしいのですが、初めてオーストラリアを訪れたときは、”today”という簡単な単語であっても困惑することがあるでしょう。他の例を挙げると、野球を意味する”baseball”の発音が”バイスボール”に聞こえたり、オージーが挨拶がわりによく使う表現”Good day, mate!”は”グダイ マイト”と聞こえます。
“a”が”アイ”と発音されるのは、特に年配のオージーに多く見受けられます。さらに、”a”は”ア”と発音されることも多くあります。
“tomato”はアメリカ英語では”トメィトゥ”のような発音ですが、オージーイングリッシュでは”トマァト”のような発音で日本語に近いです。データを意味する”data”を”ダータ”と発音するなど、慣れるまでは少し時間がかかります。
3ー3. 覚えておきたいオーストラリアでよく使われる英語表現
no worries
“No worries”はオーストラリアを訪れば必ずと言って良いほど聞く表現です。意味はアメリカ英語で言う”Don’t worry”と同じで、日本語で言えば”気にしなくていいよ”や”心配しなくていいよ”と言ったところです。
道を尋ねて”Thank you”と言えば”No worries”、待ち合わせ時間に遅れて”I’m sorry”と言った時に返ってくるのも”No worries”と色々なシチュエーションで頻繁に使われます。
また、何かを心配して”I’m worried about ~”と言った時にも”No worries”(心配しないで、大丈夫だよ)と、心配や不安をかける人に対する言葉としても使われます。
G’day
オーストラリアでよく使われる挨拶が”G’day”です。”G’day”は”Good day”の短縮形で、”Hello”と同じ意味です。発音は”グダイ”に近く、道端で年配のオージーにすれ違うと、ほぼ必ずこの単語を耳にします。
次に紹介する”mate”とセットで使われることが多く、”G’day mate”はオーストラリアと言えばの表現です。
mate
“mate”は”classmate”とか言うときの”mate”と同じです。オーストラリアではかなり良く使われる単語で、”友”や”君”、”同志”といった意味があります。主に人への呼びかけの言葉として使われ、友達同士はもちろん、道ですれ違った知らない人に向けても使われます。
ちなみに、”a”は”アイ”と発音されるので、”mate”は”マイト”と発音されます。使い方の例としては、道端ですれ違った人への挨拶として”G’day mate”や”See you mate”など、挨拶の最後に付け加えられることが多いです。
“Good morning, mate”や”Hello mate”はもちろん、 “No worries, mate”と使われることもあります。”mate”は、主に男性に対して使われます。
cheers
“cheers”は”Thank you”や”Bye”の代わりに使われます。お店の人がお客さんに対して”Cheers!”ということもあれば、”お客さんがお店の人に”Cheers!”と言うこともあります。
オーストラリアではバスを降りる時にドライバーに”Thank you”を言う習慣があるのですが、そこでも”Cheers”は使われます。”Cheers”は主に若い人が使う単語です。
特にやんちゃそうな青年が使っている印象を受けますが、友達の間柄であれば頻繁に使われます。
Ta
“Ta”というのはもはや単語に見えませんが、オーストラリア、そしてニュージーランドでも良く使われる単語です。”Thank you”の短縮形で、意味は”Thank you”と同じです。若者が使う”Cheers”に対して、”Ta”は年配のオージー達がよく使う単語です。
Macca’s
Macca’sは、オージーイングリッシュでマクドナルドのことを意味します。アメリカ英語だと”マクドウナゥズ”みたいな感じになりますが、オージーイングリッシュだと”マッカス”です。
オーストラリアのマッカスでは、タッチ画面で注文するシステムが普及しており、24時間営業の店舗も多くあるので、日本と同じように訪れる機会がかなり多いかと思います。そういうときに使うのが”Macca’s”です。
Unit
オーストラリアで留学やワーホリをするときに、シェアハウスに住むという人は家探しをする必要があります。“Unit”は集合住宅のことです。
アメリカ英語では”Apartment”, イギリス英語では”Flat”、オージーイングリッシュでは”Unit”とややこしいですが、家探しの際に使うウェブサイト上で多く見かける単語となっています。
Footy
スポーツに熱狂的な国オーストラリアで特に人気のあるのが”Footy”です。オーストラリアでは、ラグビーが有名ですが、ラグビーユニオン、ラグビーリーグ、オーストラリアン・フットボール、タッチフットボールの4つのルールが存在します。
”Footy”という単語は少し厄介で、意味としては”Football”、つまりラグビーのことを指すのですが、多くの場合はオーストラリアン・フットボールのことを意味します。
ただし、オーストラリアの地域によって人気のあるラグビールールが違うため、会話の中で”Footy”が出てきたときは、どのラグビーのことなのかを尋ねると良いかと思います。
オーストラリアン・フットボールを他としっかりと区別するために、”Australian Rule”と呼ばれることもあります。ちなみに、オーストラリアはサッカー強豪国としても知られていますが、オージーイングリッシュではサッカーのことは”soccer”と、アメリカ英語と同じです。ただし発音は”ソッカー”になります。
Ground Floor
先ほども少し紹介しましたが、オージーイングリッシュのもとはイギリス英語なので、ビルなどの1階、2階を表す表現はイギリス式です。”Ground Floor”は日本語で1階、”1st Floor”は2階を表します。
例えば、友達とレストランでランチの予定がある時、「〇〇ビルの2階ね〜」と行った場合、日本語での2階なのか、オージーイングリッシュでに2階なのかをはっきりさせる必要がありそうです。
4. オーストラリア国内での英語の違い
世界で6番目に広い国土を持つオーストラリアでは、地域によってそこまで大きな方言の差はありません。これは、オーストラリアの植民地化がスタートしたのが1788年であり、オージーイングリッシュの歴史が浅いことに起因します。ただし、都市によって若干話される英語に傾向があるようです。オーストラリアで使われる英語には大きく分けて3つの種類があります。
4ー1. オージーイングリッシュの主要3アクセント
General Australian Accent
General Australian Accentは字の通り、オーストラリア国内で最も一般的に話されるオージーイングリッシュです。オーストラリアの都市部では多くの人がこのGeneral Australian Accentのアクセントを持っています。
オーストラリアで最もスタンダードな英語として認識されているため、テレビや広告など一般の人が多く耳にするところではこのアクセントが使用されます。オーストラリア最大都市であるシドニーの若年層ではGeneral Australian Accentのみが広まっているとも言われています。
Broad Australian Accent
Broad Australian Accentは、いわゆるオージーアクセントのことです。オーストラリア以外の英語圏の人が聞いてすぐにオージーアクセントとわかる典型的な発音です。
クイーンズランド州でよく使われているアクセントであり、Typical Queensland Accentとも呼ばれています。オーストラリア東海岸において、北へ行くほどこのBroad Australian Accentを話す人が多くなるという相関関係があるようです。
したがって、シドニーよりもブリスベン、ブリスベンよりもケアンズに行くほど、いわゆるオージーアクセントで話す人が多くなります。
Cultivated Australian Accent
Cultivated Australian Accentはオーストラリアで話されている主要なアクセント農地、最も上品なアクセントです。イギリス英語の伝統的な事実上の標準発音であるReceived Pronunciation(通称 RP)と共通する特徴が多くあります。
階級の高い人や教養のある人が使うアクセントとして認識されていました。現在では、オージーイングリッシュの主要3アクセントの一つとなっていますが、使う人は急激に減少しています。しかし、General Australian Accentを使う人で、Cultivated Australian Accentを取り入れている人も多々存在します。
4ー2. その他のオージーイングリッシュ
Australia Aboriginal English
オーストラリアの先住民であるアボリジニは、ヨーロッパ人が入植を始める以前までは英語など知らず、それぞれの部族独自の文化・言語を有していました。かつては700以上の部族に、250ほどの言語が使われていたようです。
ヨーロッパ人による植民地化がスタートした後にアボリジニの部族数は減っていき、現在では約25種類のアボリジニ言語が残っています。Australian Aboriginal Englishは、オーストラリアの先住民の血を引く多くの人々が使用する言語です。
英語にそれぞれの部族の言語の要素が混ざった言語を使っています。現在では、オージーイングリッシュの一種の方言として認識されており、文法や発音に違いがあったり、独自の単語が含まれているのが特徴です。
Ethnocultural varieties
Ethnocultural varietiesは、多民族国家であるオーストラリアでこそ生まれた英語の種類で、オージーイングリッシュのアクセントからさらに派生したものを指します。
英語が第一言語でないというバックグラウンドを持つ人によって使われる英語であり、少数派のグループに使用される英語として認識されていました。しかし移民の数が増えるに連れて、オーストラリアという国の中で、それぞれが自分のアイデンティティを象徴するものとして近年は受け入れられています。
多くの場合、General Australian Accentの派生であり、アクセントの違いはもちろん、オージーイングリッシュに母国語を混ぜて話すこともEthnocultural varietiesに含まれます。ジャパニーズアクセント・チャイニーズアクセントはもちろん、イタリアやギリシャ、南アメリカ系のアクセントなど、様々な特徴があります。
4ー3. 地域によるオージーイングリッシュの違い
オージーイングリッシュの3つの主要アクセントのうち、最も使用されるのはGeneral Australian Accent ですが、地域によっても若干のアクセントの違いがあります。この違いは、人口のほとんどが暮らす東部オーストラリア、そして南部オーストラリアと西部オーストラリアです。
また、オーストラリア大陸の北、ヨーク岬とパプアニューギニアの間に広がるトレス海峡諸島(Torres Strait Islands)で暮らす人々は、さらに別のアクセントでオージーイングリッシュを話しています。これらの違いは特に、語彙と音韻(アクセントや発音構造など)によって区別されます。
4ー3ー1. 地域による語彙の違い
語彙はオージーイングリッシュの地域差が最もよく見られる部分です。例えば水着を意味する”swimwear”は、ニューサウスウェールズ州では、”swimmers”または”cossie”、クイーンズランド州では”togs”、その他のエリアでは”bathers”が一般的に使われます。
また、フットボールに関する用語についても各地域で違いがあります。オーストラリアン・フットボール発祥の地であるビクトリア州では、試合はじめのことを”ball up”、西オーストラリア州では”bounce down”、ラグビーが始まったニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州の人々は、サッカーと同じように”kick off”を用いています。また地域独自の単語もあるので、留学先でオージー達から習うのも良いかもしれません。
4ー3ー2. 地域による発音の違い
地域によっては細かい発音・アクセントも違います。例えば、”chance”という単語は、下を下あごにつける形で発音し”ア”と”エ”の中間くらいの音になりますが、地域によっては”ア”の要素が強く発音されています。
発音記号で書くと、本来”æ”で発音されるものを”ɐː”で発音しているということです。この傾向は、シドニーやアデレードなどでよく見られ、ブリスベンやホバートではあまり見られません。シドニーやメルボルンなど、南側で話される英語の方が日本人には聞き取りやすいと感じる人も多くいます。それは、日本語にある音により近い発音がされているからです。
5.オーストラリアで英語を学ぶ
ここまでオージーイングリッシュの特徴や、アメリカやイギリス英語との違い、オージーイングリッシュの中での方言について触れてきました。英語を学ぶためにオーストラリアを訪れようと考える人も多いのではないでしょうか。オーストラリアで英語を学ぶメリットやデメリットについて紹介します。
5ー1. オーストラリアで英語を学ぶメリット
色々な英語に触れることができる
オーストラリアは移民国家であるため、いわゆるオージーアクセントと呼ばれるもの以外にも、インド系アクセントや南米系アクセントなど多くの英語アクセントに触れる機会があります。
英語はグローバル言語であり、世界中の人とコミュニケーションを取るのに重要なツールです。一つのアクセントに親しんで、英語を流暢に話せたとしても、色々な英語のアクセントを持つ世界中の人とコミュニケーションが取れなければ、せっかく英語を学んだ意味がなくなってしまいます。
インド系のアクセントはこういう特徴がある、中国系はこういう特徴が、フランス人はこうで、イタリア人はこういう特徴があり…など、様々な国の人と英語でコミュニケーションを取ることで、英語を世界中の人とコミュニケーションを取るツールとして役立てることができます。
また、特徴ある色々な英語アクセントに触れることで、英語を学ぶ上での自信にもつながります。日本人は、正しい文法で、正しいアクセント、イントネーションで話したがる傾向にあると言われていますが、オーストラリアで色々な英語に触れることで、「発音や文法は気にせずとにかくコミュニケーションを取ろう」という気持ちにもさせてくれます。
文法やアクセントも重要ですが、気にしすぎるとつい日本語で考えて、英語に翻訳という流れを作ってしまい、英語脳を作るのに時間を要します。文法はあまり気にせず、とにかくコミュニケーションを取ることを先に考えて、それから発音などを徐々に学んでいくという、赤ちゃんが言語を学ぶプロセスを踏めるのがオーストラリアで英語を学ぶメリットの一つと言えます。
日本人が聞き取りやすい英語なので、上達までのスピードが早い
英語を話したり書いたりする過程で、日本語で考えたりせず、英語で考えて話す・書くという、いわゆる”英語脳”を作り上げることは大変なことではありますが、英語を上達させる上でとても重要なことです。
オージーアクセントは、アメリカ英語のアクセントよりも、日本人が聞き取りやすい英語であると言われています。それは日本語にない”r”の発音を強くしないなど、ジャパニーズアクセントでも通じやすかったりと、日本人が発音しやすいアクセントであるからです。
“r”を強く発音しなくても大丈夫な英語ということになり、アメリカ人と話すときはどうすれば良いの?と思うかもしれませんが、英語脳を作る上で重要なのは、英語で考えて、英語で話す・書くことです。
日本人が聞き取りやすいと言われるオージーイングリッシュでは、何となくニュアンスを捉えるだけでなく、一語一語なんと言ったかをしっかりと把握できるため、英語が脳に染み込みやすいでしょう。一度英語脳ができてしまえば、アメリカ英語など他の英語のアクセントも聞き取りやすくなり、英語の上達スピードはさらに上がります。
5ー2. オーストラリアで英語を学ぶデメリット
オージー特有のスラングは他の国では通じないこともある
オーストラリアでのみ使われるスラングは、当然他の国では通じません。また同じ単語でも、オーストラリアでの意味と他の英語圏での意味が違う場合もあります。
これはオーストラリアのみならず、どの英語圏で学んでもその地域でしか使われない特徴を学ぶことになるので、オーストラリアのみの問題とは言えませんが、一種のデメリットもあります。
ただし、オーストラリアではアメリカ発の映画やドラマも人気なので、アメリカ英語のスラングなども多く使われます。
6. まとめ
オージーイングリッシュは、入植してきたイギリス人が話していた英語が元になっている、比較的新しい英語アクセントです。先住民であるアボリジニが使っていた言葉などと混ざり合って、オージーイングリッシュ特有の言葉も多く生まれました。
オージーイングリッシュには”r”を強く発音しない、”a”は”アイ”と発音されるという特徴があります。単語の短縮形が多いというのもオージーイングリッシュの有名な特徴です。英語を学ぶ上で、アクセントなどを気にする方もいるかと思いますが、アメリカ、カナダ、イギリスなど同じ英語圏でも、国によってアクセントは違います。
オージーアクセントもこれのひとつで、英語ネイティブの人たちは、それぞれの英語にどのような特徴があるのかを知っているので、相手に全く理解されないということはありません。
オージーイングリッシュはイギリス英語が元になっていますが、アメリカの文化も人気なことから、アメリカ英語のスラングなども多く使われています。その点、オージーイングリッシュを学ぶことはメリットにもなるのではないでしょうか。
特に色々な英語に触れ合うことのできるのが特徴のオーストラリアは、グローバル感覚を身につけたい人にはぴったりの留学先となっています。世界の色々な人と英語でコミュニケーションを取るためには、色々な国の人の英語アクセントを知り、理解するのが最も手っ取り早い方法です。
あなたもこれを機にオーストラリアで英語を学ぶことを検討してみてはいかがでしょうか。