前置き
世界各国から26万人以上もの留学生が集まる人気国オーストラリア。日本からの渡豪者はワーホリが年間約1万人、学生ビザによる留学生が年間約2万4千人と、日本人からも絶大な人気を誇っています。オーストラリアは物価が高く、主要都市部であればシェアハウスに住んでも日本で一人暮らしをするのと同じくらいお金が必要で、長期滞在になればなるほど現地での仕事は必要不可欠です。
今回はオーストラリアにはどのような仕事があり、できるのかについてご紹介します。
オーストラリアで働くことができるビザ
オーストラリアに留学をするには、主に以下3つのビザがあります。
ワーキングホリデービザ
30歳までの人が申請できるビザで、入国から最大1年間の滞在が可能です。語学学校などでの就業(4ヶ月まで)、就労(同一雇用主の元で6ヶ月まで)が認められています。オーストラリアのワーキングホリデーは、セカンドビザ制度があることでも知られており、それが人気の要因のひとつでもあります。
セカンドビザ制度とは、オーストラリア政府指定のファームジョブ(畑仕事など)を規定の期間働くことで、プラス1年間ワーキングホリデービザでオーストラリアに滞在できる仕組みです。 ワーキングホリデービザでは週に38時間まで働くことが可能です。
学生ビザ
オーストラリアの語学学校、専門学校、大学に通うことを目的としたビザです。ワーキングホリデービザとは異なり、30歳以上の人でも問題なく申請ができます。
滞在期間は学校に通う期間に応じて決まります。学校へ通う期間が2年、3年あれば、ビザの期間も同期間となります。語学学校に始まり、専門学校や大学に進んで長期的に勉強している人だと、5年以上学生ビザで滞在している人もめずらしくありません。
学生ビザは週に20時間まで働くことが可能です。学校が休みの期間や、次のコースに進むまでに休みの期間があるような場合は、就業時間の制限がなくなります。 学生ビザは働くことが可能ですが、あくまで学業がメインのビザです。語学学校に通う場合は、出席率が注目されます。出席率が低下すると学校から警告がきます。80%を下回ると学生ビザを更新する際に影響が出てしまいます。仕事ばかりで学業が疎かになってしまわないよう注意が必要です。
観光ビザ
観光目的の短期滞在者用のビザです。滞在可能期間は3ヶ月間まで。観光ビザでも現地のホームステイ先に滞在したり、語学学校に通うことができますが、働くことはできません。
仕事ありきで留学を希望する場合は、ワーキングホリデービザもしくは学生ビザを選びましょう。
【英語力別】オーストラリアでできる仕事
オーストラリアでできる仕事を、必要な英語力やスキルも併せてご紹介します。
英語力不要~初級
ー裏方業務(ホテルのハウスキーピングやカーウォッシュ)
ーオーペア(ベビーシッター、家事手伝い)
ーカフェやレストランのディッシュウォッシャー、簡単な調理補助
ー配送ドライバー
ーファームジョブ
単純な業務内容で、お客様への接客や職場の人との関わりが少ないので自分のペースで黙々と仕事をしたい人に向いている仕事が多くあります。特別なスキルも英語力もあまり必要とされませんが、ローカル求人も多く、時給が低く設定されているわけではありません。シフト次第では大きく稼ぐことも可能です。 留学生のオーペアは時給ではなく、仕事をする代わりにその家の家賃や生活費が無料で滞在できるというシステムを取っているところが一般的です。 ファームジョブは野菜や果物のピッキング(収穫)の仕事、収穫されたものを集める仕事、パッキングをする仕事などに分かれます。パッキングの仕事は時給制のところが多いですが、ピッキングは歩合制を採用しているところが多く、なんの野菜や果物をいつの時期に収穫するかによって収入は大きく異なります。
英語力中級
ー日本食レストランのフロアスタッフ
ーホテルのフロント
ー日系企業(ユニクロや無印良品の店舗スタッフ)
お客様への英語での接客業務、予約や問い合わせへの電話対応が仕事内容です。お客様対応をする以上、高い英語力が必要と思われるかもしれませんが、使う英語はパターンがあるので慣れれば意外と対応できるものです。アルバイトでも日本で働いた経験があれば、仕事についていくことは問題ないでしょう。 日本食レストランでは、お客様は外国人でもスタッフは日本人というケースが多いので、わからないことを聞く時や指導は日本語でしてもらえる点は英語環境で働く上ではハードルが低いと言えます。
英語力上級
ー翻訳、通訳、受付
ーローカルのカフェやレストランスタッフ
ー日系企業(オフィスワークや営業職)
英語環境で働く上で、日本人のサポートが無い、もしくは少ない環境で働くのは一気に難しくなります。いくら業務はこなせても指示されていることがわからず、コミュニケーションが取れなければ安定したシフトをもらうことは難しいでしょう。
翻訳や通訳の仕事は、日常会話ではあまり使わないようなビジネス英語や専門的な知識の必要なケースもあるため、かなり高い英語力が必要な仕事です。
専門職(英語力は職種によって異なります。目安となる英語力を示します)
ー美容師(英語力:中級)
ー調理師(英語力:初級)
ー日本語講師(英語力:上級)
ーバリスタ(英語力:初級~中級)
ーソムリエ(英語力:中級~上級)
ーマッサージ師(英語力:初級~中級)
※お店やその時のスタッフ状況によって、お客様対応や電話対応など求められる対応が異なるため、英語力はあくまでも目安としてください。
実力主義のオーストラリア社会において、専門的な知識やスキル、経験は英語力が乏しくても必ず活かせる場所があります。調理師はオープンキッチンでない限り直接お客様対応をすることが無いので、英語力よりもスキルが重要視されます。
一方、日本語講師は相手が日本語で理解できない部分は英語での説明をする場面もあるため、英語力は上級あることが望ましいでしょう。 専門スキルのある人は、仕事を見つけやすいことにプラスして、オーストラリアで働くことを目的とした就労ビザのサポートを受けやすいことが特徴に挙げられます。現地の専門学校に通って知識やスキルを学び、現地での就職を目指して働く留学生もたくさんいます。
仕事が決まるまでの流れ
①求人情報の検索、応募したい企業やお店の選定
②応募
③面接
④トライアル
⑤本採用
求人情報はまずはネット上で探すのが一般的です。日本人に向けた求人情報を掲載しているサイト(例:メルボルンであれば、Dengon Net)や現地情報サイトGumtreeなどがあります。
オーストラリアでは、求人が出ているところへの応募はもちろんのこと、求人情報が出ていないお店に直接レジュメ(履歴書)を渡しに行って面接を依頼するというやり方も非常に一般的です。働いてみたいお店があるのであれば、求人が出ていなくても応募して問題ありません。
特にローカルのカフェやレストランで働くことを希望する場合は、ネットに求人が出てないことが多いので、とにかくレジュメを配り歩くことが必要になります。人によっては40軒も50軒も周る人がいますが、多く回ることは決して恥ずかしいことではありません。
人が足りなくてもオーナーに会えなくて話が出来なかったり、3日前に来ていればポジションがあったなど、タイミングも非常に重要になるので、あきらめずに根気よく探しましょう。
応募・面接の際にオーナーや担当者が気にすることは、仕事の経験があるか、ビザの残り期間がどの程度あるか、の2点が大きなウエイトを占めます。スキルが無くてもビザが十分に残っていれば検討してもらいやすいですし、スキルがあってもビザの残り期間が少なければ難しいケースもあります。 仕事探しは、なるべくビザの期間に余裕がある時に行うことが理想です。
レジュメ(履歴書)について
日本で仕事探しをする時、就業の経験もあれば履歴書と職務経歴書を用意することが一般的ですが、オーストラリアの場合は、履歴書と職務経歴書はセットになっています。セットになっていると言っても、日本のように履歴書のフォーマットが販売されているわけでは無いので、書くべきことは一通り共通していても、書き方は人それぞれです。
また、レジュメと一緒にカバーレターというものを提出することがあります。カバーレターとは、志望動機を伝えるためにあるようなもので、なぜその企業やお店で働くことを希望するのかを記載するものです。日本食レストランなんかではレジュメのみで良い場合が多いですが、あってマイナスになることはありません。 ローカルのお店に応募したい人はカバーレターも用意しておいた方が良いでしょう。
トライアルとは?
直訳すると「試験」などの意味があります。試用期間、実技テストのようなイメージです。 日本で働く時、面接を超えたら研修期間のようになりますが、トライアルは試験なので、例えばバリスタであればマシンを使ってコーヒーを1杯いれてみる、レストランのフロアスタッフであれば数時間~1日働いてみることで、実力を試されます。
いけそうだと判断されれば、次はいつ来てと言われますが、スキル不足や働く姿勢に疑問が残ればこの時点で不採用となります。トライアルに進んでいろいろ教えてもらえると一安心していると、厳しいところだと日本食レストランでもばっさり切られます。本採用になるまで、気を引き締めましょう。
オーストラリアの雇用形態
①カジュアル
②パートタイム
③フルタイム
オーストラリアでは、上記3つの雇用形態があります。
①のカジュアルが日本でいうアルバイトに該当するので、ワーホリや留学で期間が決まった滞在の人の一般的な雇用形態です。時給制で、雇用主側がいつでも解雇できる雇用形態であることが特徴です。適当に仕事をしていると「明日から来なくて良い」と、いきなりクビを宣告されることもあり得ます。
②パートタイムはカジュアルと同じく時給制ですが、6ヶ月ごとに有給が付与されることが特徴です。日本でいう契約社員のようなもので、雇用主はいきなり解雇することはできません。
③フルタイムはいわゆる正社員です。給料は時給ではなく、週給固定が一般的です。パートタイム同様有給も付与されます。主に永住権を持った人や、就労ビザの人がフルタイム採用されますが、長期の学生ビザ保持者やワーホリビザの人でもオファーされることはあります。
時給事情
オーストラリアの最低時給は20ドル(約1,600円)を超えています。しかし、日本食レストランで働く場合、この時給をもらえることはほとんど期待できないのが現状です。
大体の相場は12~15ドル程度。銀行振込ではなく手渡しのところもあります。オーストラリアでは、アルバイトでもスーパーアニュエーションというものが給料と別に支給されます。スーパーアニュエーションは、積み立ての年金で、働いた額の9%が給料とは別に支払われ、スーパーアニュエーション専用の口座に振り込まれます。通常は定年後に引き出せるお金ですが、留学生などの一時滞在者は完全帰国するタイミングで引き出す申請をすることが可能です。
スーパーアニュエーションを支払うのは、法に従って運営している企業やお店になるので、給料が手渡しのところには無縁です。どれくらい働くかによりますが、長期滞在して仕事をしていれば帰国する時にはそれなりにまとまったお金になっているので、なるべくもらいたいところ。時給が5ドル違って、スーパーアニュエーションも無ければ総収入は大きくことなります。
英語力が乏しくても、オーストラリアで雇用される以上もらうべきお金なので、しっかりした経営をしているお店探しをおすすめします。就労ビザのサポートが欲しい人はなおさらです。
まとめ
いかがでしたか。オーストラリアには日本人ができる仕事がさまざま存在しています。生活費を稼げれば仕事はなんでも良いと考える人もいれば、友達を増やすために日本食レストランで働きたい、英語環境で働きたいなど、人それぞれ求めることは違うと思います。
その中でも多くあるのは、ローカルのお店で働いていてみたいけど、自信が無いから応募すらしないという人です。せっかく留学に踏み切ったのに、現地で挑戦をあきらめてしまうのはもったいないこと。英語力が低くてもやりたい仕事や働きたい職場で働けている人はいくらでもいます。自分のやりたい仕事に積極的にチャレンジすることをおすすめします。