前置き
22カ国もの国とワーキングホリデー協定(以下ワーホリ)を結んでいる日本。今も協定先は増え続けており、2017年にはアルゼンチン、スペイン、ハンガリーが加わり、2018年からはアイスランド、チェコともワーホリ制度がスタートしました。 そんな中、日本と初めてワーホリ協定を結んだのが「オーストラリア」です。その歴史は1980年からスタートし、現在では年間1万人もの日本人がワーホリビザで渡豪するワーホリ渡航先第1位の人気国。そんなオーストラリアにワーホリしたいと考えている方、特に初めてのワーホリだと、どのような準備や手続きが必要なのかわかりませんよね。そこで今回は、ワーホリの強い味方「エージェント」についてまとめたいと思います。
エージェントとは?
ワーホリエージェントや留学エージェントと呼ばれますが、渡航する前後の相談や準備を一貫してサポートしてくれる会社のことです。 エージェントを通さずに、ビザの申請など、ワーホリに必要な諸々の手続きを自力でやることも可能です。
しかし、提出書類やメールでのやり取りに英語が必要になってきますので、英語がわからない人にとってはなかなかハードルが高いもの。特にビザ申請は公式なものなので、少しでも不備があるといつまで経ってもビザが発給されません。
現地の状況もよくわかっていないようであれば、やはりエージェントに相談して、得られる情報とサポートをもらうことが有意義なワーホリ生活をスタートさせるための秘訣です。 渡航してすぐに仕事が見つかるかわからないので、渡航前の費用はなるべく節約したいことを理由にエージェントを利用しない人もいますが、エージェントには有料と無料の2種類存在しています。
・有料エージェント 利用者がサポート代を支払い、各種サポートをしてもらう仕組み。
・無料エージェント 利用者に紹介した語学学校などから紹介手数料を得て運営している。無料とは言え、希望する学校によっては多少費用が発生したり、中には有料で提供しているサービスもありますので、なにをお願いしても費用0円というわけではありません。
有料エージェントの方がサポートの幅が広いこともありますが、無料エージェントでも十分なサポート内容なので、サポートを依頼しない手はありません。エージェントによってもサポート内容は異なりますが、主なサポート内容は以下の通りです。
【渡航前】
カウンセリング
1番最初にやることで、1番大切なポイントです。ワーホリを検討している人にありがちなことが、ワーホリでのプランが決まっていないこと。オーストラリアと一口に言っても、非常に広大な土地で、シドニー、メルボルン、ブリスベン、ケアンズといったさまざまな都市があり、どこでなにをして過ごすかは人それぞれ。
自分のやりたい事を整理し、どこの都市で生活し、どこの学校に行くことがベストなのか、カウンセラーの経験や意見とともに具体的に決めていきます。かかる費用や、いつまでに保険やビザの申請をしなくてはいけないといったスケジュール感も合わせて指示をもらえるので、プランが決まればあとは従うのみ。 「あまり得るものがない海外生活」にならないためにも、カウンセリングによる事前準備はとても重要です。
語学学校の紹介、入学手続き
オーストラリアには韓国、台湾、ブラジル、コロンビア、ヨーロッパなど、世界各国からワーホリが殺到しています。そのため日本では考えられないくらい、外国人向けの語学学校がたくさん存在しています。授業の内容が大きく違うことはありませんが、学校によってきれいさ、設備、1クラスあたりの人数、国籍率はバラバラ。 一部ネットで紹介されている学校もありますが、無数にある中のほんの一部の学校とお考えください。
語学学校での勉強がその後の英語生活に大きく影響することは言うまでもありませんし、オーストラリアのワーホリビザでの就学は4ヶ月以内と決められているので、学校選びはとても重要です。 エージェントに相談することでさまざまアドバイスをもらえることと、入学の手続きを代行してもらえます。学校に入学すると日本人スタッフが勤務しているところもあり、なにかとサポートしてもらえることもありますが、入学手続きは英語が必須。語学学校に行く必要がある英語レベルでは、おそらく自力での対応は難しいでしょう。
ホームステイ先の紹介、入居手続き
「HOME STAY IN」のような、オーストラリアのホームステイ先を日本語で探せるサイトもあるので、そういったところから自分の気に入る宿泊先を選ぶのも1つの方法です。ただ、ハウスルールは英語で書いてあるのと、入居に際して質問等あれば英語でのやり取りが必要になってきます。 オーストラリアはエリアやホストによって、シャワーは何分以内の利用(節水のため)。土日は昼食提供なし。インターネット代は別請求。などルールがさまざま。家に行ってから言われても英語がわからず、ちょっとしたトラブルになってしまうことも考えられるので、海外初心者はエージェントを通じたホームステイ先の方が安心です。
エージェントに依頼すれば、家族構成やハウスルールの案内から、入居手続き、必要であれば空港までの送迎(プラス費用はかかります)依頼も手配してもらえます。 もし、ホームステイではなく、いきなりシェアハウスなどに入居したい場合は自分で見つけて契約が必要です。
海外保険の紹介、加入手続き
オーストラリアのワーホリは海外保険への加入が義務付けられていません。特に若い人は少しでも費用を節約したくて、保険は無視して渡豪する人もいます。しかし、海外保険は加入することが絶対におすすめです。 オーストラリアの医療費は日本と比べてかなり高額なので、保険無しで病院に行けば、診察だけで1回50ドル(約4,100円。1ドル82円計算)近く請求されます。
万が一、虫垂炎にかかってしまい、現地で手術となれば、約100万円の請求になると言われています。 虫垂炎はそうそうあることではないかもしれませんが、現地で引いた風邪に日本の風邪薬は効かないこともあるので、やはり病院に通える安心感はあると心強いものです。保険に加入していれば、キャッシュレスで治療を受けられるところもあるので、いざと言うときのために加入しておくことをおすすめします。
とは言え、ワーホリ保険のプランを持っている保険会社もたくさんあり、どこが良いのか決めるのも一苦労。エージェントを利用していれば最適な保険プランをピックアップし、内容の説明と加入手続きも進めてもらえます。
航空券の手配
航空券の手配は自分で行う人も多いですが、初めての海外なので不安という人にはこちらもサポートしてもらえます。
ビザ申請サポート
ワーホリ渡航前で最も大切なことが、ビザを手に入れることです。これが無ければ、ほかの準備をしていてもすべて無駄になってしまいます。オーストラリアのワーホリビザには定員がなく、犯罪歴等ない健康な人であれば基本的にビザが下ります。ネットでビザの申請方法と探せばいくらでも出てくるので、自力でも対応できると思いますが、稀に別途健康診断を受診するようなイレギュラーな指示がくることもありますので、エージェントとマンツーマンで一つ一つ確認しながら申請することがおすすめです。
英語学習サポート
すべてのエージェントではありませんが、オフィス内に英語クラスを設けて、渡航前の利用者に開放しているところもあります。少しでも英語に慣れて行きたいところなので、ありがたいサポートです。 その他、ワーホリ経験者や現地語学学校の担当者を集めて、ワーホリ説明会を開催し、より臨場感のある情報提供をする場所を設けたりもしています。また、国際免許証の発行や人によっては海外転居届けの提出など、エージェントが直接手続き代行できないことに関しても、ワーホリにまつわる話としてアドバイスをしてもらえます。
エージェントによって渡航前のみのサポート、現地にもオフィスがあり渡航後もサポートしてくれるところもあります。渡航前の準備が主に重要な部分ではありますが、渡航後に受けられるサポート内容も簡単にご紹介します。
【渡航後】
ホームステイ先への送迎
プラス50ドルくらいで、空港まで車で迎えに来てくれて、ホームステイ先に送り届けてくれます。
携帯電話の契約サポート
今時SIMフリーになっているスマートフォンが多いので、現地でSIMカードを購入して差し替え、月額の支払いをすれば利用できるのでサポート不要なケースも多いでしょう。現地での日本代理店による携帯契約は機種やプランが少ないことも多く、費用も高いのであまりおすすめできません。 もし使っているスマートフォンがSIMフリーでなく、本体から購入が必要な場合も、日本や現地でSIMフリーの安い本体を購入し、月額制のSIMを購入し利用した方がお得です。
銀行口座の開設サポート
銀行口座の開設は少し難しそうでサポートがあった方が良い、と思われるかもしれませんが、パスポートさえ持って行けばその日のうちに開設できるので、思ったほど難しいものではありません。キャッシュカードは数日後に郵送で自宅に届きます。
仕事や資格についての情報提供、仕事の斡旋
今募集している仕事やボランティアの情報が手に入ったり、ダイビングのインストラクターやバリスタ資格の割引情報がもらえたりと、現地ならではの情報が手に入る点は心強いところです。
履歴書の作成や添削
日本語の履歴書と職務経歴書を持っていけば、それをオーストラリア仕様に作成して、その場で印刷してもらえるというサポートもあります。ただ、語学学校の授業もしくは時間外授業に、レジュメ(履歴書)作成講座がよくあるので、学校で習うことも可能です。
エージェントの選び方
全国規模でサポートをしている会社もあれば、主要都市をカバーしている会社、東京都のみ対応など、エージェントも相当数存在しています。特にオーストラリアはワーホリも留学も人気国なので、オーストラリア専門のエージェントもあり、選択肢は非常に多いです。 そんな中、なにを決め手にエージェント選びをするか?決め手とするべきポイントを以下3つご紹介します。
通いやすさ
エージェントにお世話になる場合、カウンセリング、学校の選定、保険の申し込み、ビザの申請、と複数回通うのが一般的です。家や学校、会社から行きやすい場所のエージェントを選ぶことが1つのポイントです。家から近かったり、帰り道に寄ることができるとスケジュール調整がしやすく、遅延なく進めることができるのでおすすめです。
情報量
諸々の申請サポートに加えて大切なのが、現地の情報提供です。習慣や言語の違う国に行くので、知識はあるに越したことはありません。例えば、誰しも気になるのは仕事に関すること。オーストラリアは物価が高い一方、レストランのウェイターなどの一般的なアルバイトでも時給が高く設定されています。 日本でいうアルバイトをオーストラリアでは「カジュアル」と言いますが、カジュアルの最低時給は23ドル(21歳以下)。18歳でも17ドル~となっています。
しかし実際に現地で働くと、英語がわからない人は特に、現金手渡しで時給10ドル程度で採用されることもめずらしくありません。 日本でアルバイトをするのと同じくらいの金額ですし、生活ができないわけではなく、英語に自信が無いという理由からその条件で働き続ける人が多いのが現状ですが、オーストラリアの法律では違法にあたります。 では、どの程度英語力があれば正規の時給で働けるのか?といった現地での生活をしっかりイメージできる情報を得られるかもエージェント選びのポイントです。
カウンセラー
長い人生の中のほんの1年のことですが、海外生活をするというのは大きな決断。押し付けではなく親身になって相談を受けてもらえるか、自分の思いに沿った提案をしてもらえるかという点も大きなポイントです。
まとめ
いかがでしたか。ワーホリにはどのような準備が必要で、エージェントがどのようなサポートをしてくれるかについてまとめました。ワーホリや留学をしたことがある人の中には、語学学校やホームステイを検討しておらず、エージェント利用が不要という人もいるかと思いますが、初めてのワーホリの人はあまり最初から無理をせず、費用がかかったとしても必要経費として考えて、エージェントのサポートを受けることをおすすめします。